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2026.06.23
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【事例解説】贈与を行う場合の注意点
今日は「相続時精算課税」を解説します。
令和7年5月に国税庁が発表した「令和6年分所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」によれば、相続時精算課税による贈与を申告した人は8万人となっており、前年比+59.2%となっています。この申告納税額は661億円であり、前年比+17.5%となっています。これは令和6年から相続時精算課税による贈与につき、基礎控除額110万円が新設されたことによる効果でしょう。
また、令和8年5月に国税庁が発表した「令和7年分所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」によれば、相続時精算課税による贈与を申告した人は8万人となっており、前年比-0.8%となっています。この申告納税額は823億円であり、前年比+24.6%となっています。
令和6年分、令和7年分を比較すると、相続時精算課税による贈与を採用した申告人数はほぼ同数である一方、申告納税額は増加しました。令和6年以降、多くの方が相続時精算課税による贈与に注目していることがわかります。
暦年贈与であれば、金額に関わらず(年間110万円以下でも)、相続開始前7年間※の贈与財産は相続財産に加算されます。※7年のうち、前半4年間については、4年間の総額で100万円の控除あり
ただし、相続時精算課税による贈与であれば、暦年贈与とは違い、年間110万円までならば、相続開始前7年間の贈与財産が相続財産に加算されないのです。
相続時精算課税による贈与であれば、相続開始年分の贈与に関しても、基礎控除額110万円が適用されます。そのため、贈与者が高齢であったり、重大な病気に罹患している場合は検討すべき贈与の方法です。
ここで、覚えておいていただきたいことがあります。それは、相続時精算課税による贈与は
〇 毎年110万円までの贈与額:贈与者の相続財産に加算されない
〇 これを超える部分の金額:贈与者の相続財産に加算される
ということです。
例を挙げましょう。
〇 被相続人:父親(相続時精算課税による贈与を使った贈与者)
〇 相続人:子供3人(長男、次男、三男)
→長男は相続時精算課税による贈与を使った受贈者
→贈与額は3,000万円
〇 被相続人の相続財産として、「3,000万円-110万円=2,890万円」が加算され、この事実が父親の相続税の申告書に載る
ということは、長男にのみ3,000万円を贈与した事実が相続税の申告書の記載内容から他の相続人である次男、三男にわかってしまうのです。
もちろん、これが問題にならないケースもあるでしょう。しかし、相続人間の争い、その後の人間関係という大きな問題に発展するケースもあり得る訳です。正直なところ、税金のことよりもこちらの方が問題でしょう。
相続時精算課税による贈与は「税金のこと」を考えて実行されることが多いでしょう。しかし、これを優先させたが故に「相続人の人間関係が壊れた」ということにもなりかねないのです。
当然ですが、このことは祖父母から孫への贈与でも同じことが起き得ます。相続人(子供)が複数いる場合でも、「特定の孫にだけ相続時精算課税による贈与をする」ということがあり得るからです。
〇 贈与をするならば、相続人間で平等に行うのが原則
〇 子供の産まれた年が違い、贈与開始年が違うならば、何かしらの形式で帳尻を合わせる必要がある
→例:贈与税を支払った後の「手取り額の総額」で調整ということも検討すべき事項です。
法人税であれ、所得税であれ、相続税であれ、税金を減らすことは大切です。しかし、税金を減らす行為が本末転倒になってしまっては意味がないのです。
さらに大切なのは「節税」ではなく、「税引き後のお金を増やすこと」なのです。しかし、多くの方が「税金を減らすことを意思決定の第1ステップにしている」という現実があります。
これでは相続であれ、事業承継であれ、会社の経営であれ、「物事の本質」を見誤ります。
NGな意思決定:「この方法を採用すれば、税金が減る」
OKな意思決定:「この方法を採用した方がいいし、結果として税金も減る」
「こういう風にすれば税金が減るが、どう思いますか?」というご質問をいただくこともありますが、「物事の本質」から外れている場合もあるのです。
繰り返します。大切なのは「節税」ではなく、「税引き後のお金を増やすこと」であり、「物事の本質から逸脱しないこと」なのです。見誤らないよう留意してください。
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