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2026.07.23
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【事例解説】相続開始直前の預金の引き出し
今日は「見つからない現金は相続財産ではないのか?」を解説します。
非常によくあることですが、死去直前の短期間に被相続人の預貯金が引き出され、現金として留保されることがあります。もちろん、葬儀費用を支払う準備をしておくということもありますが、
〇 預貯金として残高にあれば、相続財産になってしまう
〇 現金として預貯金から抜いておけば、相続財産にならない
という「誤解」から引き出されることもあります。では、現金が見つからなければ、本当に相続財産にはならないのでしょうか?
これが争われたのが、平成23年6月21日裁決です。この事例の概要は次のとおりです。
〇 平成19年4月11日:被相続人はA病院に入院
〇 平成19年4月19日:相続人が被相続人の預金から5,000万円を引き出し
〇 平成19年4月20日:被相続人はA病院から退院
〇 平成19年4月21日:被相続人はB病院に入院
〇 平成19年4月〇日:被相続人が他界
ちなみに、死亡日の前日に容態が急変するまでは、自分で動いたりしゃべったりできる状態であり、家族等が常時付き添っていることはありませんでした。被相続人自身も数日後に死亡するとは考えていない病状でした。
この状況において、相続人は下記と主張しました。
〇 被相続人の指示に基づき、相続人は預金を引き出した
〇 その当日にA病院に現金を運び、全額を被相続人に引き渡した
〇 相続人はその後における現金の管理には関与していない
〇 被相続人から現金の使途についても知らされていない
〇 現金は被相続人が使ってしまったものであり、相続開始日においては存在しなかった
これにつき、国税不服審判所はどう判断したのでしょうか?
結果として、納税者の主張を認めず、下記と判断したのでした。
〇 税務調査官が確認したところによれば、下記などの事実は無い
・自宅やA病院の近隣の金融機関への入金
・被相続人が代表を務めていた会社への貸付け
・高額な資産の購入
・何らかの役務提供を受けたことによる支払い
・他者への貸付け
・借入金の返済
・租税公課の支払
〇 5,000万円は引き出し前の預貯金残高の8割を超え、被相続人の総所得金額の2倍以上に相当する
〇 これだけの金額を被相続人が短期間で費消したとは考え難い
〇 5,000万円は被相続人の相続財産である
ちなみに、昭和54年6月21日裁決でも、下記のとおり同じ旨が示されています。
————————————————————————–
被相続人が相続開始日直前4日間に銀行の普通預金口座から引き出した現金(40,000,000円)については、被相続人の死亡直前の状況により、資産の取得、債務の返済、その他費消等のために支出された事実が認められないことから、当該現金は、相続開始時の手持現金と認めるのが相当である。
————————————————————————–
今回の事例は5,000万円であり、預貯金残高の8割以上でしたが、もっと少ない場合でも同じことが言えます。相続財産に計上していないタンス預金が多額にあれば、国税局査察部(マルサ)が「令状」を持って「強制調査」に入ることもあります。庭を掘る、壁を壊すなどの行為がされることもあり、とんでもない所に隠してあることもあったのです。
そこまでの状況ではないとしても、それなりの額の現金が相続開始の直前に引き出されていることは多いのです。国税は税務調査に臨場した段階で、被相続人、相続人、その他親族の預貯金の過去数年間の流れはチェック済です。
なぜ、相続人やその他親族の預貯金までチェックするかというと、名義は相続人などであっても、それが被相続人の相続財産に該当することが「よく」あるからです。典型的な例は「祖父母が孫名義で預金を積んでいた」というものです。
話を戻しますが、現金を引き出し、預貯金の残高を減らしたとしても、国税はこれを「機械的に」チェックしていますので、それは「全く意味のない行為」となります。「現金」という相続財産になるだけです。
これを覚えておいていただければと思います。
非常によくあることですが、死去直前の短期間に被相続人の預貯金が引き出され、現金として留保されることがあります。もちろん、葬儀費用を支払う準備をしておくということもありますが、
〇 預貯金として残高にあれば、相続財産になってしまう
〇 現金として預貯金から抜いておけば、相続財産にならない
という「誤解」から引き出されることもあります。では、現金が見つからなければ、本当に相続財産にはならないのでしょうか?
これが争われたのが、平成23年6月21日裁決です。この事例の概要は次のとおりです。
〇 平成19年4月11日:被相続人はA病院に入院
〇 平成19年4月19日:相続人が被相続人の預金から5,000万円を引き出し
〇 平成19年4月20日:被相続人はA病院から退院
〇 平成19年4月21日:被相続人はB病院に入院
〇 平成19年4月〇日:被相続人が他界
ちなみに、死亡日の前日に容態が急変するまでは、自分で動いたりしゃべったりできる状態であり、家族等が常時付き添っていることはありませんでした。被相続人自身も数日後に死亡するとは考えていない病状でした。
この状況において、相続人は下記と主張しました。
〇 被相続人の指示に基づき、相続人は預金を引き出した
〇 その当日にA病院に現金を運び、全額を被相続人に引き渡した
〇 相続人はその後における現金の管理には関与していない
〇 被相続人から現金の使途についても知らされていない
〇 現金は被相続人が使ってしまったものであり、相続開始日においては存在しなかった
これにつき、国税不服審判所はどう判断したのでしょうか?
結果として、納税者の主張を認めず、下記と判断したのでした。
〇 税務調査官が確認したところによれば、下記などの事実は無い
・自宅やA病院の近隣の金融機関への入金
・被相続人が代表を務めていた会社への貸付け
・高額な資産の購入
・何らかの役務提供を受けたことによる支払い
・他者への貸付け
・借入金の返済
・租税公課の支払
〇 5,000万円は引き出し前の預貯金残高の8割を超え、被相続人の総所得金額の2倍以上に相当する
〇 これだけの金額を被相続人が短期間で費消したとは考え難い
〇 5,000万円は被相続人の相続財産である
ちなみに、昭和54年6月21日裁決でも、下記のとおり同じ旨が示されています。
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被相続人が相続開始日直前4日間に銀行の普通預金口座から引き出した現金(40,000,000円)については、被相続人の死亡直前の状況により、資産の取得、債務の返済、その他費消等のために支出された事実が認められないことから、当該現金は、相続開始時の手持現金と認めるのが相当である。
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今回の事例は5,000万円であり、預貯金残高の8割以上でしたが、もっと少ない場合でも同じことが言えます。相続財産に計上していないタンス預金が多額にあれば、国税局査察部(マルサ)が「令状」を持って「強制調査」に入ることもあります。庭を掘る、壁を壊すなどの行為がされることもあり、とんでもない所に隠してあることもあったのです。
そこまでの状況ではないとしても、それなりの額の現金が相続開始の直前に引き出されていることは多いのです。国税は税務調査に臨場した段階で、被相続人、相続人、その他親族の預貯金の過去数年間の流れはチェック済です。
なぜ、相続人やその他親族の預貯金までチェックするかというと、名義は相続人などであっても、それが被相続人の相続財産に該当することが「よく」あるからです。典型的な例は「祖父母が孫名義で預金を積んでいた」というものです。
話を戻しますが、現金を引き出し、預貯金の残高を減らしたとしても、国税はこれを「機械的に」チェックしていますので、それは「全く意味のない行為」となります。「現金」という相続財産になるだけです。
これを覚えておいていただければと思います。
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